
1月9日Vol.034:配信
2024●みんなに伝えたいこと1/3
遅澤敦史社長

あたり前って、何?
「当たり前のことを、当たり前にやろう」
これは、朝礼でよく話すフレーズ。世の中では凡事徹底とも言われ、多くの日本の会社はこのスローガンの下、強い会社を築いてきました。
この、「当たり前」って何?人それぞれ、その基準は違うはず。自分が思う「当たり前」とはどんなことなのか、そんな話しをしてみます。
社長という立場を与えられた3年半前。先代の人望、歴史と伝統の栃木レザー、一蓮托生の皮革業界。どこを見渡しても、長い時間で積み上げられたものばかり。そのなかで、自分は何をすべきなのか、就任当初は肩に力が入りました。自宅に戻って、家族と会話をしていても、心、ここにあらず・・・
そんな浮き足立つような感覚の毎日に、はっとする瞬間がありました。朝、みんなの顔を見て「おはようございます」と挨拶を交わす時。定時になって「お疲れ様」と、会社を出る時。
「ちゃんと事故なく帰ったかな」
「どこかで飲みすぎてないかな」
そんなことを考えながら家路につき、「誰か倒れてないかな」と、夜は不安にかられる。翌朝、みんなの顔を見て安堵して、みんなが変わらずいてくれることに、ほっとする。そんな当たり前の毎日を迎えながら、思いました。
みんなの毎日を守ること、
この居場所を継続すること。
それが、自分のやるべきことなんだと。
毎月の終わりに、ハシモト産業の橋本会長に報告の電話をかけます。
「今月も乗り越えられました」
「おぅ、また生き延びられたなぁ」と。
はっとして、ほっとして、少し笑えるようになった、そんな3年でした。

1月10日Vol.035:配信
2024●みんなに伝えたいこと2/3
遅澤敦史社長

自分ができること
一介のサラリーマンだった自分が、突然、社長になるのは、正直、面食らうことばかりでした。
心のうちを少し明かすと、自分が社長を引き継ぐという話しになったのは、先代が亡くなる3ヵ月前くらい。元気な頃、「将来はおまえがやるんだからな。でも、やりたくなかったら継がなくてもいいぞ」と、笑いでごまかしながらのやりとりでした。
今、思えば、その笑いには理由がありました。多くの中小企業は、保有と経営が分離されていないことから、社長が保証をする形で資金を調達し、事業を拡大させてきました。先代も例外なく、 自身がすべての責任をとるかたちでやってこられた。だから、それも含めて引き継いでほしいとは、言えなかったのだと思うのです。
社長になって、はじめてその責任の重さを感じました。「従業員70人とその家族も含めて背負わなければいけない」と言われたけど、どうしたらそんなことが自分にできるのか。考えて、考えて、色々やって辿り着いたのが、昨日話した「みんなの毎日を守ること、居場所を継続すること」なのです。考えを削りながら、身も削ってきた。
もっと未来のことをカッコよく語るべきなのかもしれないけれど、みんなの毎日を守れなければ、未来も拓けない。この場所がなくなってしまったら、革づくりもできない。そのためにも、当たり前のことを、当たり前にできる人間でいてほしい。何でもない当たり前をしっかりやることで、その積み重ねは必ず大きな違いを生みだします。
人それぞれ、当たり前の基準で解釈してもらっていいのです。また、当たり前を大切にすることは、何も挑戦しないということではありません。
一際目立った飾り立てに、つい目を引いてしまうけれど、見えないところでコツコツと継続し磨き上げている人をすごいと思い、評価できる人でありたい。
それが、自分の考える当たり前です。

1月11日Vol.036:配信
2024●みんなに伝えたいこと3/3
遅澤敦史社長

栃木バランスで、会社を継続させていく
1日夕方に起こった能登半島地震。テレビのニュースを耳にした瞬間、車に飛び乗り会社へと向かっていました。いても立ってもいられず、毎日見に行き、気がついたら仕事始めの5日でした。老朽化の激しい工場だけに、心配の種はつきません。
自然災害には逆らえませんから、安全であることを大前提に考えると工場改築は急務です。従業員の安全が確保されないと、居場所を継続させることもできない。そうしたこと、みんなで知恵を出し合って取り組んでいきたい。そう、思っています。
先代がいたころは、強いリーダーシップで経営判断を行うスタイルでしたから、現場が声をあげる環境にはありませんでした。ただ、経営判断のスピードも早く、緊張感のなかで現場のやる気を引き出し、業務の効率を上げる相乗効果がありました。
それは、時代の流れや、先代だからこそできたことです。いま、その殻を破り、社員参加型の会社というか、もっと自由に発言ができる環境をつくっていきたい。だから、社内報もスタートさせました。社員インタビューの記事を読んでいると、「こんなこと考えているんだ」と、頼もしく感じます。
「昔からこうだから」とか「こうでなければならない」ではなく、自分で考え、判断し、行動する自由。自由というのは、好き勝手にやるということではなく、それぞれが責任を持つということです。
栃木レザーは、今、あらたなステージにあがっています。栃木レザーの品質を守るのは三柴工場長、心臓部でもある排水と設備で会社・工場を守るのは井上部長、そして組織を俯瞰しみんなの毎日を守るのは自分。この3本の矢が栃木バランス。一つの目標に向かい、皆が協調することで困難を乗り切っていきたい。
振り返ったとき、「変わったね」って、気づいてくれたら、それが一番いいカタチです。

3回にわたって、遅澤社長の<みんなに伝えたいこと>をお届けしました。無理な変化ではなく、少しずつ変化していく栃木レザー、みんなで見たいですね。
